セロトニンは、私たちの脳内で働く化学物質で、神経伝達物質として知られています。神経伝達物質は、脳内の神経細胞間でメッセージを伝える役割を果たします。セロトニンは、特に気分や感情、睡眠、食欲など、人間の行動や思考に大きな影響を与えることで知られています。
セロトニンは、「幸せホルモン」も呼ばれることがあります。これは、セロトニンが心地よい気分や幸福感、満足感を引き起こすからです。セロトニンのレベルが低いと、うつ病などの心の問題につながることがあります。
セロトニンはどこで作られる?
セロトニンは、脳内で感情や行動に影響を及ぼす化学物質としてよく知られていますが、セロトニンの約90%は腸内で生成されます。
このとき、腸内細菌が健康な状態(すなわち、豊富で多様な種類の細菌が存在する状態)であると、腸の細胞は適切な量のセロトニンを生成します。一方、腸内細菌が欠如している場合、腸の細胞は約60%少ないセロトニンしか生成しないことが、研究から明らかになっています。
腸内環境を整えることの大切さがわかりますね。ヨーグルトや発酵食品を食べることで、腸内細菌叢の健康とバランスが維持され、それにより腸内でのセロトニンの生成が高まる可能性があります。
セロトニンを増やすもの
食事
セロトニンの生成には、トリプトファンというアミノ酸が必要です。トリプトファンは、タンパク質を含む食品(肉、魚、卵、乳製品など)に含まれています。したがって、これらの食品を適切に摂取することで、健康的なセロトニンのレベルを維持することができます。
肉類は赤身の肉がおすすめです。昔は、赤身の肉、たとえば外もも肉やすね肉というと固くて味気ないものでしたが、最近は熟成肉が広く食されるようになり、それらの欠点が改善され、むしろ、旨味成分が増えて愛好者が増えています。
脂身が多い肉は、動脈硬化を招きやすいのであまりおすすめできません。食べるとしても少量がよいでしょう。
運動
運動は、脳内のセロトニンの生成を促進することが科学的に証明されています。
運動をすると、脳へのトリプトファン(セロトニンを生成するために必要なアミノ酸)の取り込みが増えることが知られていますが、これは脳への血流が増えたり、競合する別のアミノ酸が筋肉で使われるため、トリプトファンが優先的に脳内に取り込まれることが原因ではないかと考えられています。
長期的には、定期的な運動がセロトニンの再取り込みを減らし、その結果、脳内のセロトニンの利用可能量を増やします。これは抗うつ薬が目指す効果と同じです。実際、適度な運動は、うつ病の症状を軽減するための自然な治療法として推奨されています。 運動の種類や強度については、研究結果は異なりますが、一般的には、中程度から高強度の有酸素運動(例えば、速歩、ジョギング、自転車乗りなど)が最も効果的であると言われています。
リズム運動も脳内のセロトニンの生成を促進すると言われています。リズム運動とは、音楽やビートに合わせて身体を動かす一連の動作を指します。これはダンス、エアロビクス、体操、ドラム演奏など、多くの形で見ることができます。日常生活では歩行、階段の昇降、咀嚼などもリズム運動です。料理をするときに、食材をまな板の上でリズムよく切る作業もリズム運動と言えるでしょう。
太陽光
太陽光を浴びると、脳はセロトニンの生成を促進します。セロトニンは「幸福感」の神経伝達物質であり、活動的で覚醒した状態を促進します。これが、晴れた日に外に出て活動すると気分が良くなる理由の一部であり、また、光線療法が季節性情動障害(SAD)などの治療に有効である理由でもあります。
まとめ
セロトニンが気分や感情に大きな影響をもたらすこと、セロトニンの分泌を高める日常生活の方法についてまとめてみました。適切なセロトニン分泌を保ち、常に前向きな気持ちで生活することがリラクゼーションライフにつながります。