ストレスがかかり精神的に緊張すると、からだに力が入り筋肉が緊張します。それが長時間続くと、頭痛、肩こり、腰痛などの身体的不調を引き起こすことがあります。
逆に、筋肉がリラックスすると心拍や呼吸も落ち着き、ぐっすりと眠れるようになります。ここでは、筋肉をリラックスさせる方法をご紹介します。
ストレッチ
ストレッチは筋肉の柔軟性を高め、血行を改善し、筋肉の緊張を解放します。これにより、筋肉や関節の動きがスムーズになり、身体的な不快感や痛みが緩和されます。
ストレッチにはいくつもの種類がありますが、リラクゼーションには、以下のストレッチがよいでしょう。
静的ストレッチ
反動をつけず、特定のストレッチポーズを数十秒から数分間保持し、筋肉をゆっくりと伸ばします。
パッシブ・ストレッチ
他人や道具の力を借りて、筋肉を静かに伸ばします。静的ストレッチの一種と考えてよいでしょう。
ほかにも、通常の可動域を超え、反動をつけて筋肉を伸ばすバリスティック・ストレッチや脚のスイング、腕のスイング、胴体のねじれなどを稼働範囲内で行う動的ストレッチ(ダイナミック・ストレッチ)などがありますが、これらはどちらかというと、スポーツや運動をする前に適してます。
フィットネスインストラクターの竹脇 まりなさんの動画では、数多くのストレッチをわかりやすく説明しています。参考にしてはいかがでしょうか。
漸進的筋弛緩法
漸進的筋弛緩法(Progressive Muscle Relaxation, PMR)は、1920年代にアメリカの医師エドモンド・ジェイコブソンによって開発されたリラクゼーションテクニックです。
この方法は、筋肉の緊張と弛緩を繰り返し行うことで、身体のリラックスを導きます。
具体的な方法は次の通りです。
静かで落ち着いた場所に座り、深呼吸をします。握りこぶしをぐっと握りこんだり、上腕に力を入れるなどの動作を10秒間行った後に、15~20秒間脱力・弛緩します。
同じ要領で、背中、肩、首、腹部、などの筋肉群に順番で行っていきます。詳しい方法は、下記の文部科学省のHPをご覧ください。
漸進的筋弛緩法は、心地よいリラクゼーション状態を得るだけでなく、筋肉の緊張やリラクゼーションの感覚を自覚する能力を高める効果もあります。これにより、日常生活の中で無意識に緊張している筋肉に気づき、それをリラクゼーションさせることが可能となります。
按摩・指圧、マッサージ
按摩や指圧、マッサージは筋肉の緊張をほぐすことで血行を改善し、リンパ液の流れを促進します。これによりストレスホルモンの分泌が抑えられ、リラクゼーションが促進されます。
按摩・指圧
日本ではおなじみですね。按摩は、なでる、押す、揉む、叩くなどを手技とした中国発祥の手技で、日本で本格的に普及したのは江戸時代からと言われています。
指圧は、全身のツボを指で押すことで、本来人間の身体に備わっている自然治癒力を促進させると謳う日本で生まれた手技です。
スウェーデンマッサージ
スウェーデンマッサージは、19世紀にスウェーデン体操の基礎を作った医師パー・ヘンリック・リン氏によって確立されました。スウェーデンマッサージは、オイルやクリームを使って深部の筋肉などへのアプローチを重視しているところに特徴があり、現代で盛んに行われているアロマオイルマッサージの基礎になるものです。
リフレクソロジー
リフレクソロジーは、体全体と相関関係にあるとされる足の反射区に対して圧力を加えることで、健康を促進する療法です。特定の反射区に働きかけることで、対応する体の器官(例えば、心臓や肺など)の健康状態を改善すると考えられています。リフレクソロジーは、ストレスの軽減、リラクゼーションの促進、全体的な健康状態の改善に役立ちます。
タイ式マッサージ
タイ式マッサージは、タイの伝統的な癒しの技法で、古代インドのヨガと中国の指圧を融合したものとされています。全身のエネルギーラインと呼ばれる特定の経路に対して、伸張と圧迫を使って作用します。施術者は手や足、肘、膝を使って床上で施術を行います。このマッサージは、身体の柔軟性を向上させ、筋肉の緊張を解放します。また、深いリラクゼーションにより精神的な平和をもたらすとされています。
台湾式マッサージ
台湾式マッサージは、中国の伝統的なマッサージ技術に基づき施術を行います。温かい蒸しタオルを重ねて背中を暖め血行をよくしたり、足踏みの強い圧力で深層の筋肉の緊張を和らげ、血液やリンパ液の流れを改善したりします。強めの施術が好きな方におすすめですが、施術者に言えば好みの圧でマッサージを受けることができます。
一人でできるマッサージ
器具を使えば、一人でもマッサージをすることができます。
マッサージチェア
マッサージチェアは、首から脚まで全身をカバーする機能を持っています。背もたれの内部には自動で動くもみ玉やローラーなどが組み込まれ、足や腕などをもみほぐすものもあります。
高級機種では、本格的なマッサージ法を実現したり、脈拍や皮膚温などを感知して、動きを制御する機種もあります。
自宅にいながら全身のこりをほぐし、最高のリラクゼーションを得ることができますので、常にベストコンディションを維持したい方、明日への活力をみなぎらせたい方に最適です。
マッサージクッション
マッサージクッションは、クッションにもみ玉が搭載されています。大きさはさまざまですが、大きめのものは椅子の背もたれに設置して使うことができ、小さめのものは寝転んで首、背中、腰、足など好きな部位を選んで使うことができます。
私自身の経験から、使用する際の注意点を挙げておきます。
まず、体重をかけすぎないことです。深部に効かせようとするとつい体重をもみ玉に乗せてしまいがちですが、小型のモーターで動いていますからモーターが動かなくなったり、部品が壊れることがあります。
また、繰り返し使っていると摩擦力により、もみ玉をカバーする生地に穴があくことがありますので、強い生地を使っている機種がおすすめです。
私自身、部品が壊れたり生地に穴があいたりして何個か買い換えましたが、逆に言えば、故障のため買い換えても損はないほどの優れたアイテムであると言えます。私のように慢性的なこりで悩む人は、一回使うと手放せなくなること間違いなしです。
ネックマッサージャー
ネックマッサージャーとは、首と肩に特化したマッサージ器のことで、首にかけるタイプが多いです。首は、いつも重い頭を支えていますから、頚椎や首の筋肉には常時負担がかかり、血行が悪くなることが多くあります。
私は寝つきが悪いのですが、寝る前に首をほぐすと、すっと眠りに入り熟睡できることが多いです。また、日中に長時間パソコンに向かっていると画面の文字がぼやけたり、頭の回転が鈍くなったりするのですが、首や肩のマッサージをするとこれらの回復が早いことに気づきました。がちがちになった首や肩をほぐすことで、脳への血流量が増えて酸素がたくさん供給されるようになったためと思われます。私自身の経験からは、首や肩のこりをほぐすことは、夜も日中もよい効果を生むようです。
ただし、首には脳にいく重要な血管や神経が集まっていますので、首や肩のマッサージを長時間行ったり、強めに圧をかけたりすると、めまいや吐き気を起こすことがありますので、注意してくださいね。
フットマッサージャー
フットマッサージャーとは、足専用のマッサージ器のことです。 足裏、ふくらはぎなどをこれでほぐします。足のむくみの改善に効果があるとして最近人気が高まっていますよ。
二足歩行の私たちは、地面と接する足裏に全体重がかかり、足首、ふくらはぎ、すねがこれに次ぎ、足には常に負担がかかっています。
足先にいくほど心臓から離れますので、重力の作用で血液やリンパ液が心臓に戻りづらくなり、体液が組織間にたまりやすくなります。これがむくみの原因になります。
足裏やふくらはぎ、すねをマッサージすることは、これらにたまった体液を心臓に戻すことでもあります。足のむくみがある方がこフットマッサージをした後に、尿意をもよおすことがあります。これはしっかりとマッサージが効いている証拠です。全身のマッサージはもちろんですが、足裏やふくらはぎの部分的なマッサージでも、たまっていた体液が血管やリンパ管に戻って腎臓に運ばれるため、尿量が増えて不要な老廃物が外に出されるのです。
長時間の立ち仕事や座り仕事をしている方は、積極的にフットマッサージをしたいですね。
まとめ
以上、筋肉をゆるめてリラクゼーションを生むためのストレッチや漸進的筋弛緩法、マッサージの種類と方法をご紹介しました。日々の生活の中にこれらを取り入れることでリラクゼーションを得て、活力ある日々を送られることを願っています。